最近はなんでも値上げ値上げ…全てが値上がりして感覚も麻痺してきましたが、自転車も例外ではありません。
久しぶりに自転車を買いにお店に行って価格を見てびっくりした方も多いのではないでしょうか?
今回は自転車の価格が実際どのくらい上がったのか、モデルごとに過去の価格を調べて比較してみました。
そして、値上げの原因はなんなのか?これから価格はどうなるのか?考察してみたいと思います。

自転車の価格はどのくらい上がったのか?5年前と比較してみた。
では実際にどのくらい価格が上がったのか、2025年と2020年のモデルの価格変化を調べてみました。
ブリヂストンのアシストなしのシティサイクルの最上位モデル「アルベルトロイヤル(ABR6L5)」の2025年現在の価格は
アルベルトロイヤル(ABR6L5)¥102,000(税込)
なんとモーターも電池もない普通の自転車ですがとうとう10万円の大台を超えてきました。
もちろんブリヂストンお得意のベルトドライブに内装5段変速、他の作り込みを見ても流石、といった感じではあるのですが、10万円と聞くとなかなか手を出しにくい価格ですね。
さて、同じモデルの2020年モデル「アルベルトロイヤル(AR65LT)」の価格は
「アルベルトロイヤル(AR65LT)」¥84,480(税込)
その差は¥17,520、17%以上の値上げという結果になりました。
「価格差でオレの自転車買えるぜ(泣)」という方もいそうですね。
元から高いと言えば高いですが、10年くらい前はもっと安かったような…(遠い目)
電動アシスト自転車の価格推移は?
次に、電動アシスト自転車の価格はどう変わったのか?こちらは人気の子乗せ電動アシスト自転車で比べてみましょう。
ヤマハの人気車種「PAS Babby」の2025年モデルの価格は
PAS Babby 184,000円 (PA20BB)
やはり、なかなか高価な印象です。では2020年モデルの価格はどうでしょうか?
モデル変更に伴い名称も変わっていますが、ほぼ同じバッテリー容量のPAS Babby un SPの2020年モデルの価格は
PAS Babby un SP ¥156,200(PA20BSPR)
価格¥27,800、15%以上の値上げという結果になりました。
電動アシスト自転車は価格が高い分値上がり金額にすると大きくなりますね。
もちろん毎年モデルチェンジに伴い仕様変更がありますので一概に比較はできませんが、バッテリー容量はほぼ同じですので、実質的には後継モデルと考えていいでしょう。
なんでこんなに値段が上がったのか?今後はどうなるの?
これほど価格が上昇した背景には、自転車に限らず、資源や材料費、人件費の高騰といった要因が挙げられます。
しかし、「昔はもっと安かったはず」という記憶を検証するため、さらに古いモデルの価格を調べてみました。
2015年モデルの『アルベルトロイヤルAR65L5』の価格は
アルベルトロイヤルAR65L5 ¥70,800(税抜)
で、今とは税率が違いますが現在の消費税10%とした場合には¥77,880となり、2020年モデルと比較してその差は¥6,600で7.8%の値上げ。
この結果から、値上がり率は異なるものの、自転車の価格は年々少しずつ上昇していることが確認できました。以下に、過去10年間の価格推移を示します。
ブリヂストン アルベルトロイヤル | ヤマハ パスバビー | ||
2025年 | 102,000 | 184,000 | |
2020年 | 84,480 | 156,200 | |
2015年 | 77,880 | 125,400(注1) | ※税率10%で計算 |
10年間での値上がり率 | 23.65% | 31.85% |
(注1)ヤマハ パスバビー2015年モデルはバッテリー容量8.7Ah、チャイルドシート別売なので参考までに。
アルベルトもそうですが、パスバビーもバッテリーやチャイルドシート分を加味すると、10年で約20パーセント値上がりしていると思って良いかと。いつの間にか日銀が定めた「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率2%とする」を実現してしまっているではありませんか。自転車業界やるじゃん。
というのは半分冗談として、日本政府というか世界的に見ても「安定的な上昇」を目指しているわけで、経済成長のためには物価の上昇は必然です。ここ数年の値上がり幅は大きく感じられますが、長期的に見ても上昇傾向にある以上、今後も価格は上昇していく可能性が高いと考えるのが妥当でしょう。
自転車特有の値上げ理由は?
自転車特有の値上げ理由として、業界に10年以上いる私は「ずっと我慢してきたけど耐えきれなくなって値上げした」という印象を抱いています。
長引くデフレの影響で「値上げは悪」という考え方が浸透し、食料品や生活必需品と同様に扱われる自転車は、なかなか価格改定ができませんでした。
車業界も日本車が海外では無茶苦茶高い値段で売られていたり「海外での販売台数の方が多いせいでダッシュボード周りが欧米仕様を無理やり右ハンドルにした」微妙に変なレイアウトだったり、色々と皺寄せがきているようですが、要は以前のままの価格ではやっていけない、という状況であること。
メーカーが価格を引き上げたことで、修理や工賃といった関連サービスの価格も適正な水準へと見直される可能性があります。
「いやいや値段が上がったら困るんですけど!」
という声が聞こえて来そうですが、ここ数十年原材料費などは上がり続けている間、自転車屋は値上げできずに我慢してきました。その結果個人の自転車店は廃業し、大型チェーン店が増加。
そういった店はどうやって利益を上げているのか?利益率の高いパンク修理剤や長期保証などの関連商品を売って利益を確保しています。もしくは専門店ではなく、多くある商材の一つとして自転車を扱うことによって全体として利益が出る仕組みを作っているのだと思います。
それは「知らない間に余計なものを買わされている」という可能性もあるのでは?
どこかで収益を上げなければならないので良い、悪いではないのですが、個人の自転車店にはそういった施策を行うことができなかった、大型店の利便性という消費者ニーズによって現在の状況は作られてきたと言えます。
しかし、自転車の供給、メンテナンス、保証、修理といったライフサイクル全体を考えると、大型店、近所の自転車屋、そして私たちのような出張自転車修理サービスがそれぞれ健全に運営できなければ、最終的には自転車に乗る人に不利益が生じるのではないかと懸念しています。
結論:今までが安すぎた
30年続いたデフレが終わった、と言われ、インフレの実感も少しづつ湧いて来ました。
ということは今までとは違った戦略が必要になるはず。その戦略とは…?
「本当に欲しいもの、必要なものは早く買う」
物価が上昇していくということは今日よりも明日の方が価格が高い、という事。
個人的な実感として、最近身の回りのものを整理していてメルカリをよく使うのですが、数年前に買ってあまり使わなかったものをメルカリで売ると、買った時とほとんど同じ値段で売れるのです。
そういったことが何度かあり、調べてみると定価が変わっていて数年前よりも2割くらい高くなっていました。
メルカリで買う側の立場に立ってみると、定価より2割安く買うことができる、という感覚なのです。
例えば今自転車を必要としていたり、どうしても欲しいと思っているものがある場合は必要な時に買うべきで、待っていてもより高くなるだけ、ということになります。
もちろん価格も重要ですが、ご自身のライフスタイルに合った自転車選び、そして信頼できる自転車店選びができるようになれば、長期的にはより良い買い物ができるはずです。
皆様の参考になれば幸いです。